いつまでも若々しく生きる

書籍紹介/感想

天風三部作には入っていませんが、こちらも1万円本の一つです。心身統一法を解説した天風三部作とは違い、健康と食事について述べられている書籍です。

「よく噛んで食べる」ということは知っていても、万病の薬である唾/唾液を出す為ということはこの書籍で知りました。ご飯に付いてくる漬物の効能を知らず食べてましたが、漬物は唾液を出すためだったと気付いてからは、ご飯と漬物をセットで食べるようになりました(漬物がない時はより噛むことを意識)

第一章:自然のおきて

衣服について
・厚着をしない
・あまり皮膚に密着するもの、また圧迫するものを身につけない

第二章:食物と生活

人間は果物を食う動物なんだ。果食動物なんだ。ひどい病に罹った時、果物だけ食ってると治っちまうんだ。「あなた方も、果物食べなさい」と言いたいけれども、これはただね、この日本では金が掛かってしょうがないんだよ。だから、でき得るだけ動物性のタンパク質を食わないようにした方がいい。概ね、植物食七に対し、肉食三の割合が理想です。七対三。ただ、若い人と年寄りでは、同じ割合じゃない。

口の中に入れた食べ物が、形が全部無くなっちゃって、いつ飲み込むともなく飲み込まれちまうんでなきゃいけない。現代の文化民族が、百人寄せて、九十人まで胃や腸が弱いのは、この噛み方不完全というより、不謹慎だからだ。食べ物を口の中へ入れて、アンニャモンニャ噛み出すと、その食べものが小さなかけらに噛み砕かれると同時に、口腔内に存在する唾液腺から、不可思議な微妙な働きを持つ唾なるものがジュクジュク、ジュクジュク、喉から飲み込みいいように流れ出してくる。唾は万病の薬というが、この唾がありがたいものなんだ。体の中の唾だけが、人間の食い物の中で一番分量の多いでんぷん質を、完全に溶解し、完全に消化してくれる。口の中に溜まった唾を飲み込むだけでもって、なんと一服の薬を飲まなくても病が治るようにできてる。けがをした場合でも、かぶれや、やけどや、あるいはまた、おできでもって吹出物なんか出た場合、唾を塗っときゃ治っちまうんだ。

どんな場合があっても、食い物を口に入れたら、形の無くなるまで噛む。そうすると、自然の恩恵や自然の企ててる大きな計画が、無視されないことになる。そうした周囲の実行が、消化器系の病というものを患わせないで済むようにしてくれる。人間が本当に丈夫になったという時は、消化器官が完全な状態になった時なんだ。消化器官が完全な人間だったら、他の病が出ても、治りが早い。

(第二章より抜粋)

胃腸カタルに侵された相撲取り(九州山)と後援者の湯浅医学博士と天風氏の問答

「あなたは、胃腸の専門家では無いけれども、もう苦しい時の神頼みだ。何とか一つ相談に乗ってもらいたい」
「肝硬変からきた慢性的な胃と腸のアトニー(無力症)で、何をしても、もう食えなくなっちゃった。無論、これは治っても相撲は取れませんけども、私も長い間、その人間の面倒を見ているので、このまま殺しちゃったんじゃあ、第一、医者としての私の立場も汚される訳なんで、相談に乗ってくれませんか」
「とにかく、その病人、連れてこねえか、俺のところへ」
「歩けないんです」
「戸板に乗っけてこい(当時救急車というものはない)」
「今何貫ある?」
「二十貫(約七十五キログラム、半分に痩せた)」
「いつ頃から食わねえんだ」
「食べられなくなったのは、ここ一週間ばかりです。食べちゃいけないと先生が言うんで、形のあるものは、もう一月ぐらい食ってません」
「そうか。形あるものを見るてえと、食べたいような気持ちしない?」
「します。しますけれども、重湯も喉に通らねえんですから、食べてみたいなと思いますけれども、ただ思うだけです」
「そうか。あれ(タクアン)持ってこい」
「とんでもない。重湯さえ通らないのに」
「あんたは黙ってろ。あんたが何か言うんなら、連れてお帰り。私には私の信念がある。黙って見てなさい。さあ、関取、これを噛むんだ」
「そんなもの、食べられません」
「食べろって、誰がそう言った。噛めと言ったんだ。食べると噛むは違う。噛め」
(タクワン噛みながら、長い間形あるものを食ってなかったので嬉しさで時々目を据えて)
「飲みこんじゃあ、いけませんか」
「いけませんかって、飲み込めねえんじゃねえか、お前」
「何だか飲み込めそうです」
「駄目だ。まだいけない。噛め」
「まだいけませんか」
「まだ駄目」
「もうよかろう、飲み込め」
「もうありません・・・」
(重湯を飲ませても吐いていたが、今回は唾と一緒に飲み込まれたので吐くことはなかった。三週間後、四股踏みするようになり、相撲にも復帰した)

(第二章より抜粋)

第三章:病の消息

現代の医学からいったら絶対に治らないと言われている癌ね(1950年代頃?)。これですら、天風の唱導する心身統一法を応用したところの統一式治病法を施すと、むしろ驚くべき奇跡的の効果がそこに生じてくるのであります。私はこれまで、子宮癌を助け、乳癌を助け、また同時に胃癌を助け、恐るべき喉頭癌や肺臓癌まで幾人助けていることか。

医学の方ではね、癌という病を局部的なものだとみなしているのであります。だが、癌という病は、局部的なものじゃ絶対に無いんであります。それじゃあ、何だといやあ、これは一言にして言える。全身的なもの。詳しく言おう。癌の病原は、血中にあるんであります。それが、体の一部分に固まって集まったものを、すなわち癌という。もっと詳しく言うと、体の中で腐敗した動物性の物質の毒が次第に散り積もって、しかる後、固まっちゃったのが癌。

(第三章より抜粋)

第四章:治病抄

急病の手当て

  1. 新鮮な空気(部屋を閉め切らない)
  2. 食事((ジューサーを使ったりした)果物の搾り汁がよい/食欲が出てくるまでは食べない)
  3. 水による湿布治療法
  4. 心の持ち方
  5. 相手の活力をもらう

無機鉱物からこしらえられた、この節の大抵の薬は、よくない。無機というのは、命のないもんだ。この現象世界にある物質というものは三つしかないはずだね。植物と動物と鉱物。動物の体を形成している、骨、肉、血液、筋肉、一切みんな鉱物だ。そして、生きてる限りは、その鉱物は有機鉱物であります。有機鉱物である我々の、ある故障を治そうが為に用いる薬が無機鉱物である場合、この無機鉱物というものが有機鉱物と同じような作用を我々の肉体に与えてくれないことは、はっきりわかりゃしない?

ただねえ、造物主のこしらえたものの中に、時々、普通の真理以外の真理があるんだから、不思議だ。塩、これだけは無機鉱物として取り入れなきゃ、取り入れようがない。

薬食同源
薬のない世界のやつが早死かというと、薬のない世界に生きてる人間ほど長生きができる。私のいたヨーガの地帯なんてものはね、百歳前に死んでる者は余程の慌て者だもん。だからね、一番いいのは、薬という名のついた特別の格好をしたものを用いるよりは、その病の性質を見て、この病にはこういう成分が足らないなということを見極めて、その足らなくなっている成分を補うような食い物を食えばいい。食い物の中にあるのは、みんな有機鉱物だから。

一番無難なのは、前にも言った通り、病に罹らないうちから、血液を弱アルカリ性のものにする為に、平素、できるだけ植物性のものを余計に食べて、動物性のものは全体の三割以下にする、要するに七対三ですよ。

(第四章より抜粋)

第五章:四大の利用法

四大/四天の利用

  • 日光(殺菌作用など)
  • 空気(プラナヤマ)
  • 土(裸足)
  • 水(風呂/水浴び

第六章:いつまでも若々しく生きる

私のところにお昼十二時前にいらした方は、どんなに寒い日でも私が裸でいるのを知ってるだろ。早朝おいでの方は、私が水風呂に入っていることをご存知であります。毎日慣れ親しんでいる水風呂、冬の寒い日でも何ともないから入るんで、いちいち寒がって「ああ、氷が張ってる、寒そうだ」と思ったら、思っただけで患っちゃう。寒くも何ともないの。我慢する必要がない。これも訓練的積極化の賜物であります。

心と体という、人間の命を形成しているものの関係は、ちょうど一筋の川の流れのように切って切れず、離して離れないものなんだ。そして川上が常に心で、川下が肉体、それが多くの人は、この心と体の大事な消息を知らないが為に、川下ばかり掃除し、川上は気にしない。それじゃ、いつまで経っても本当の健康も長寿も得られないのであります。

「食物は、できるだけアルカリ性のものをよけい食べること」
アルカリ性の食物については、現代の人は十分に承知とは思うが、わかりやすく言えば植物性の食物、野菜と果物をできうる限り食べるということであります。

心身統一の根本原則

  1. 食物はアルカリ性(野菜と果物)のものを多く食べる
  2. 飲み物はお茶と水を奨励
  3. タバコは控えるかほどほどに
  4. 適度な運動と睡眠
  5. 深呼吸(天風式クンバハカ法)
  6. 皮膚の温熱作用の調節(冷水摩擦/冷風浴/冷水浴
  7. 精神を統一する(安定打坐)

我々の肉体が生きているのは、次の三つの条件によって生命の火を燃やしているからであります。

  • 息をすること
  • 栄養を吸収すること
  • 老廃物を排泄すること

大抵の人は、これを行うのは五臓六腑だと思っていますが、これは操り人形と同じで、直接自分自身で働く力を持っていない。そして、操り人形である五臓六腑を動かす元になるもの、それは何かというてえと、神経系等なんです。

神経系等は、働きの上から、動物性神経と植物性神経の二つに区別されていて、それを中枢神経が操っている。さらに、中枢神経を操っているのが脳髄、この中で大脳と小脳の一部が動物性神経を操り、小脳の一部と延髄が造物主から支配権を与えられて、植物性神経を働かしている。
科学の上からいうと、脳髄すなわち大脳と小脳と延髄こそ、なんぞ、心というものなんだ。

※ Youtubeで要約してくれた方がいるようです。

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